市川総合設計室

建築の仕事は人生と同じ出会いの連続です。

コストコントロールの手法

産地とダイレクトに結ぶ木材のサプライチェーンの確立

いまや食材は全国の産地から直送が当たり前です。木材住宅のNET工事費内30~40%を占める木材の購入もかくあるべきです。青森ヒバは当然青森から、杉、桧は北関東から直に納入します。土台、柱、大引きなどの構造材と床材、天井、壁などの内装で無垢の造作材は部位別に産地から入手する方法を確立しています。結果、加工所でのロスが著しく少なくなり、不必要なストックもなく、搬入費も最小限になり、通常の流通コストの30%が節約できます。

完成までの全工程に建築家が責任を持つ、ワンストップの住まい作り

産地としても年間の需要予測が立てられれば生産計画が立てやすくなります。その点で設計段階での予約発注が出来ればもっと合理的なコストコントロールが可能になります。

丸太一本の全てを使い切る伐採計画

森林の立木を切り出して丸太にする事を玉切と言います。建主のこだわりを元に、住空間を案出し設計図に投影しますが、立木→丸太→製材加工の工程での歩留まりは約25~30%です。青ヒバは人工林ではなく天然林です。樹齢100年以上の立木を卓抜択伐します。ゆえに利用率を高めるためにも材長の定尺寸法を特定することで、ロスが少なく、丸太の付加価値を高めることになります。因みに材の定尺は3m、4m、6mが一般的ですので、構造計画の段階で空間構成を考慮し、部位、部材を割り振れば丸太一本の利用拡大が望めます。結果としてコストパフォーマンスの高い家づくりが可能です。

大屋根の下に骨太の住居をつくる

古建築の特長は、大きな屋根と深い庇がある事です。高温多湿な日本列島で心地よく暮らすために、先達の匠たちが考え出したカタチです。一方住宅の商品としての価格を算出する際に使われる坪単価×延床面積には軒の出や吹抜けなどは算入せず、オプションとして加算されます。2×4住宅や工業化住宅ではBOX状の住空間を前提にしていますが、住居は炎天下の車中とは違い、エアコン依存の室内空間は自然体で過ごしたい人々にとって不快なものです。
<青ヒバの家>では、屋根構造材に骨太の材寸のものを使い、軒の出は大きめにし、軒下に窓を開けていれば、住宅内に風の通り道ができ、自然の換気が生まれます。もちろん軒下の床面積は原則としてコストに算入しませんので、実質的な床面積の坪単価は低くなり、全体の住宅価格は抑える事が出来ます。

ベランダ内部
家にて森に住む半戸外の空間。インとアウトを融合させるウッドデッキは現代の縁側だ。無垢の青ヒバが美しく古びる時に永遠の記憶となる。

設計者がおこなう代理発注方式

注文住宅の総工費は、主体工事+付帯工事+オプションで成り立っています。立地条件によって地盤改良工事も、これに加算されます。これらを特定の工務店やハウジングメーカーに発注すれば、NET工事費に現場経費と会社経費が20~25%加算されます。会社経費として10%前後は必要経費ですが、設計図書に基づく木材費を分離発注し、システムキッチン、バスユニット、洗面台等を間取り図の段階で特定し、メーカーのショールームに出向き、設計者立会で注文主が見定め、発注すれば定価の半分近くになります。オプションとなる照明器具やエアコン、カーテンの類も同様です。大手ハウジングメーカーは安心と思われがちですが、営業マンやセールスエンジニアは人事異動があり、恒久的な対応は望めないのが実状です。こだわりを持つことは住まいづくりに大切ですその上で設計者との信頼関係と価値観の共有があれば安心安全安息の住まいづくりの根幹になります。これらの全てを統合することで総コストは大幅に縮小されるでしょう。

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